国家公務員になるには|仕事内容ややりがい・必要な資格・年収を解説|
国家公務員とは
国家公務員は、1府12省庁(1府は内閣府、12省庁は総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省、復興庁を指します。)
そのほか、裁判所・国会などの国家機関に勤務し、各機関が管轄する分野のスペシャリストとして活躍する仕事です。
よりよい社会を実現するために、社会の基盤を整備し、人々の暮らしを根幹から支える職業です。公務員の仕事は、民間企業にはないやりがいや魅力にあふれています。
国家公務員の仕事内容
国家総合職
一般にキャリアとよばれる中央省庁(霞が関)の幹部候補です。
政策の企画・立案・調査、法律の制定や改廃など極めて高度な内容であり、その名の通り国家を背負ってたつ国家公務員として仕事をします。
国家一般職
総合職が主に中央省庁で政策の企画立案を担当するのに対し、一般職は合格した地方10のブロック(北海道、東北、北関東、南関東、北 陸、東海、関西、中国、四国及び九州)にある各省庁の地方支部局で政策の実施を担当します。
国税専門官(財務職員)
国税庁や各地の税務局で、税金関連の調査や指導を行うスペシャリストです。
研修や実務経験を積んで法律や会計などの知識を身につけると、「国税査察官」「国税調査官」「国税徴収官」という3つの専門職に就けます。
試験種としての違いで、大卒程度で受験した場合を国税専門官、高卒程度で受験した場合を税務職員と呼びます。
国税調査官
「国税査察官」は脱税の疑いのある人に対して、適正な税の申告に関する調査・指導をする専門家となります。
国税調査官
「国税調査官」は適正な納税申告が行われているかを調査する専門家
国税徴収官
「国税徴収官」は対応された税金の督促や滞納処分、徴収を行う専門家です。
財務専門官
財務専門官とは、国の予算がきちんと使われているかどうかをチェックする「予算執行調査」を行ったり、地域の銀行・信用金庫や貸金業者などへの検査・監督を行ったりする財政・金融のプロです。
財務省の出先期間である財務局に勤務し、財務省や金融庁の指示・委任を受けながら、国家予算の執行調査、金融機関の検査・監督、証券取引の監視、多重債務者の相談などの多様な業務を扱います。
裁判所職員
裁判所職員は、裁判官が行う裁判以外のすべての仕事を担います。
全国の裁判所や事務局に勤務し、裁判所や裁判が円滑に運用されるための手続き事務やサポートを行います。
裁判所職員には、「裁判所事務官」と「裁判所書記官」の仕事がありますが、最初は「裁判所事務官」としてキャリアを積む必要があり、書記官試験に合格し研修を受けることで「裁判所書記官」になることができます。
労働基準監督官
労働基準監督官は、労働基準関連法令にもとづき、労働条件の確保や改善を図る厚生労働省の専門職員です。
労働条件の確保・向上、働く人の安全や健康を図り、また、不幸にして労働災害にあわれた方に対する労災補償の業務を行うったりします。
さまざまな企業の問題解決のためには、労働法や刑法といった法律知識とともに、土木・建築などの科学知識などの幅広い知識と、双方の立場に配慮したバランス感覚が求められます。
立場の弱い労働者の権利を守ることが使命であるため、責任を伴う職種です。
皇宮護衛官
皇宮護衛官とは、皇族の護衛と皇居の警備を行うスペシャリストです。 天皇・皇后両陛下や皇族各殿下の護衛や、皇居、御所、御用邸などの警備を行うのが皇宮護衛官の仕事となります。
警察庁の附属機関である皇宮警察本部に所属し、事件の調査や犯罪者を逮捕する権限を持っています。
高い教養と正しい振る舞いが求められるため、刑法や行政法、武道だけでなく、語学、書道も身につけなければなりません。
皇宮護衛官は皇居以外に、東京都の赤坂御用地や、奈良県の正倉院など、さまざまな配属先があります。
国家公務員の年収とは
業績や経済動向に大きく左右されやすく、平均年収が400万円代前半で推移している民間企業に対し、国家公務員の平均年収は600万円台後半で推移しており、年収は民間に比べて格段に高い水準となっています。
特に最近民間企業では40代以降の年収が上がりづらいことに対して、公務員は毎年アップしていくため民間企業よりも魅力的なものであるといえます。
国家公務員のキャリアパスは
キャリアパスは、一般的に入庁後に研修を経て、実務経験を積みながら昇進していく形となります。
初級職から始まり、主任、課長、局長などのポジションに昇進するようになり、キャリア形成やスキル向上のための教育制度も整備されており、資格取得や外部研修などがサポートされています。
公務員は安定性や社会的信頼性が高い一方で、厳格な職務や法令遵守が求められます。そのため、公正な評価と昇進制度が整備され、優れた成績を上げた者が昇進しやすい環境が整備されています。
昇進制度
国家公務員の昇進は、職員の官職を昇任、降任、転任させる際に、人事評価に基づいて判断されます。
各任命権者は、昇任しようとする官職に必要な標準職務遂行能力と適性を考慮して、昇進がきまります。
また、国家公務員法第54条に基づき、職員の採用や昇任に関する制度の運用を確保するため、「採用昇任等基本方針」が定められています。各任命権者は、この基本方針に従って任用を行います。
さらに、標準職務遂行能力は、内閣総理大臣によって定められたもので、係員、係長、課長補佐、課長などの標準的な官職の職務を遂行する上で求められる能力です。
昇進にはさまざまな要因が影響しますが、人事評価や勤務成績、直近の懲戒処分の有無などが考慮されます。昇進の結果は、昇給額にも反映され、国家公務員のキャリアパスを形成する重要な要素となっています。
海外勤務の可能性
国家公務員の海外勤務は、一部の職種や機関で実施されています。具体的な海外勤務の可能性は、所属する機関や職種、業務内容、人事評価などによって異なりますが、一般的に、外務省や国際機関などでの海外勤務は、外交官や国際協力の専門職などが対象となります。
また、国際機関や国際協力団体との連携プロジェクトなどに従事する職員も、一定期間の海外派遣が行われることがあります。
国家公務員になるための条件
国家公務員になるための条件とはなんでしょう。
受験資格
2023年度の試験であれば「2023(令和5)年4月1日において高等学校又は中等教育学校を卒業した日の翌日から起算して2年を経過していない者(2021(令和3)年4月1日以降に卒業した者が該当します。)及び2024(令和6)年3月までに高等学校又は中等教育学校を卒業する見込みの者」となっています。
具体例として「高校、中等教育学校の卒業から2年を経過していない者、卒業見込み者」が挙げられています。試験案内に詳細がフローチャートで掲載されていますので、必ず確認するようにしてください。
1次試験の概要
1次試験は基礎能力試験と適性試験、作文試験が実施されます(理系の試験区分の場合、さらに専門択一試験も課されます)。
基礎能力試験とは、いわゆる教養択一試験のことで、高校で勉強する内容+αについて、五肢択一式のマークシートの試験が課されるものです。
ちなみに、高校であまり触れることのない「課題処理」とは判断推理のことを指します。数学的パズルのような問題が出題されるので、問題集などでなれておくと良いでしょう。
適性試験とは、事務処理能力を測る試験で、知識は不要です。ただし、配点割合が設定されていて最終合格にも影響しますので、市販の参考書を利用するなどして、それなりに出題形式に慣れておく必要があります。
2次試験の概要
2次試験は人物試験(個別面接)が実施されます。ここでの面接は特定の省庁の選考ではないので、原則として「国家公務員として」の自己アピールを心がけましょう。
なお、後述する採用面接(官庁訪問)は、2次試験の前後の時期に実施されることになります。先に官庁訪問で内定を得られたとしても、2次試験が不合格になると、採用されません。油断せずに臨みましょう。
国家一般職(高卒)は、省庁ごとの採用面接も受験する
国家一般職は、大卒程度の試験の場合、「官庁訪問」を行う必要があります。
官庁訪問とは簡単にいうと「採用を希望する省庁に職場訪問をすること」で、ここで内々定(うちの省で採用しますという約束)を得る必要があるわけです。
一方、高卒程度の試験でも、採用面接はあります。採用を希望する官庁の採用面接を受験して、内々定を得なければいけません。人事院的には「官庁訪問」という言い方をしていませんが、各省庁では便宜的に「官庁訪問」という言い方で採用面接を実施しています。
国家公務員に向いている人
国家公務員に向いている人は、世の中をこのように変えていきたい、といったことを考えている人です。
そして、自分の能力を発揮するというよりは、民間の個人や企業、地方公務員、国家一般職の皆さんの能力を最大限発揮させることができる人です。
地方公務員(事務職)を目指す穴吹学園の学科
穴吹ビジネス専門学校には、地方公務員(事務職)やその他の公務員をめざすことができる「公務員ビジネス学科(2年制)/公務員学科(1年制)」があります。1年目から合格を目指せる高密度授業、行政現場を意識したカリキュラム、クラス担任制の伴走型支援で合格へ導きます。
圧倒的な1次試験合格率100%(2023年3月卒業生実績)10年を超える過去問題や講師陣のオリジナル予想問題集など試験対策をサポートします。
さらに現役公務員による業務説明会・懇話会で、様々な職種への理解が深まり、進路選択の幅も広がります。現職で活躍する先輩と近い距離で話せることで面接対策にも直結します。