近年、個人が動画や生放送など多種多様な形で情報発信できる環境が整い、誰もが簡単に自分の声や姿をインターネット上で発信できるようになりました。インフルエンサーや動画クリエイターと並んで注目されるのが、“配信者”という存在です。
本記事ではこれから配信活動を始めたい方向けに、配信者になるまでの準備や人気配信者になるためのポイントを詳しく解説します。プラットフォーム選びから収益化の仕組みまで、ゼロから学べるガイドとして参考にしてください。
目次
配信者とは

配信者とは、インターネットを通じて動画やライブ配信を行い、視聴者とコミュニケーションしながらコンテンツを提供する人を指しライバーとも呼ばれます。大きく分けると、リアルタイムでのやりとりを中心とするスタイルや編集済みの動画を投稿するスタイルなど、さまざまな形があります。
最近では人気コンテンツになったVTuber、eスポーツ選手といったプロゲーマーなど、彼らはさまざまなメディアプラットフォームを利用して配信・発信を行います。
例えば、YouTubeやTwitchでゲーム実況を行うゲーム実況者・雑談を行う配信者・歌を歌う配信者など、その内容は様々です。
配信者とひと口に言っても、リアルタイムで視聴者と交流できるライブ配信や録画した動画を編集して投稿する方法など実にさまざまなスタイルがあります。ゲーム実況や雑談、バーチャルでの配信など、自分の得意分野を活かせる点が大きな魅力です。
配信者の活動スタイルと主な種類
ライブ配信・動画投稿
配信者の活動スタイルは大きく分けてライブ配信・動画投稿の2つに分けられます。
ライブ配信
ライブ配信は、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら映像を配信する形式です。
視聴者のコメントにその場で反応できるため、リアルタイムな交流ができ一体感が生まれやすく、ファンとの強い繋がりを築きやすいです。
また、事前準備をあまり必要としないため、急な企画や日常の出来事をそのまま配信できるというメリットがあります。
デメリットとしては、やり直しがきかないという部分が大きいです。配信した内容は編集できないため、ミスや不適切な発言がそのまま残ってしまいます。
また、ライブ配信中は、その時間ずっとカメラの前にいる必要があります。視聴者もリアルタイムで視聴できる人が主なターゲットになるため、特定の時間帯に視聴できない人には届きにくいです。
「トーク力に自信がある人」「視聴者との交流を楽しみたい人」「ゲーム実況や雑談など、リアルタイムの反応が重要なコンテンツをやりたい人」は向いているスタイルです。
動画投稿
動画投稿は、事前に撮影・編集した動画をアップロードする形式です。
動画投稿のメリットは、編集で不要な部分をカットしたり、テロップやBGMを入れたりすることで、質の高いコンテンツを作れます。
また、投稿された動画はいつでも好きな時に見てもらえるため、長期間にわたって再生され続ける資産となりより多くの人に見てもらうチャンスがあります。
デメリットとしては、動画編集の知識や技術、そして多くの時間が必要です。タイムリーな話題を扱っても、編集に時間がかかるため鮮度が落ちることがあります。
「質の高い映像や編集にこだわりたい人」「企画や構成をじっくり練りたい人」「自分のペースで活動したい人」には向いているスタイルと言えるでしょう。
配信者と一口にいっても、様々なスタイルがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
ライブ配信者(ライバー)
ライブ配信者はリアルタイムで視聴者からのコメントを読み上げたり、質問に答えたりすることで強い一体感を生み出すスタイルです。特に配信時の盛り上がりや投げ銭による収益が大きく、短時間で多くの支援を受けられるのが魅力といえます。視聴者の反応を素早くキャッチして配信内容を柔軟に変化させる対応力が求められるため、トーク力やコミュニケーション能力を磨くことが大切です。
ストリーマー
ストリーマーは、ゲーム実況、雑談、歌、料理など、さまざまなコンテンツをライブ配信する人々のことを指します。YouTubeやTwitchなどのプラットフォームで活動し、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取りながら配信を行います。また、ライブ配信のアーカイブを編集して、YouTubeなどにアップロードすることもあります。
動画投稿者(YouTuber など)
動画投稿者は録画した映像を編集し、YouTubeなどへアップロードして活動を行うスタイルです。配信する時間を選ばないため、視聴者が好きなタイミングで動画を視聴できる利便性があります。ただし、撮影や編集に時間がかかる分、継続して投稿を行う計画性やネタのアイデア力が重要となります。
バーチャル配信者(Vライバー/VTuber)
バーチャル配信者はアバターや3Dモデルを利用し、顔出しをせずに配信や動画投稿を行うスタイルです。顔出しが苦手な方でもキャラクターとしての世界観を打ち出しやすく、独自のファンコミュニティを育てることができます。顔出しなしでもむしろキャラクターとしての世界観を演出できるVライバーは、個性が強く際立ちやすいとされています。VTuberとして企業に所属する場合はサポート体制が整っているケースが多く、コラボ企画や公式イベントなどで注目度を高められる点が大きな魅力です。
配信者はこうした動画配信を主に、X (Twitter) やInstagramなどで配信の告知をしたり、日常を発信したりしてファンとの交流を深めるためSNSの活用もしています。

コンテンツ別配信内容
- ゲーム実況(FPS・シュミレーション・ホラー・アクションなど)※販売元から一部配信禁止のものなどもあるため、公式サイトなどをよく確認する必要があります。
- 雑談配信(顔出し配信など)
- 料理配信
- カラオケ配信
- イラストレーターよるライブドローイング
- 開封やレビュー系配信
タレントとしての活動
動画制作や配信業の他に、事務所などに所属している場合は、タレントとしての活動があります。テレビやCMといったメディアへの露出など種類は様々です。
今では有名ブランドとコラボしたり、企業や商品認知の拡大があるのは、配信者などのインフルエンサーによる影響が大きいことを如実に表している証拠です。
配信者になるには

配信者になるには、「必ず必要な資格」というものはありません。そのはじめやすさから、誰でも配信をすること自体は可能です。
加えてPCや配信機材に対して知識があるとより魅力的なコンテンツを視聴者(リスナー)に届けることができます。さらにSNS経の投稿で自身のプロフィールや活動を知ってもらいファンになってもらうことも重要です。
配信者同士での繋がりや視聴者からのコメントを通してのコミュニケーションもあるとなお良いです。
配信者になるために必要な準備
配信者として活動を始めるにあたっては、配信の内容や環境をきちんと整えることが重要です。アプリやプラットフォームの選定、機材の準備など、必要な手順を整理しましょう。
配信ジャンル・コンテンツを決める
最初に決めるべきは「どんなジャンルを配信するのか」という点です。ゲーム実況や雑談、メイクや料理など得意分野を活かしたテーマ選びをすることで、やりがいや継続力が高まります。
活動スタイルや得意分野を踏まえ、自分が長く続けられるジャンルを選ぶことが大切です。視聴者が求めるものと自分の個性を掛け合わせることで、他にはない魅力ある配信が可能になります。
配信アプリ・プラットフォームを選ぶ
次に配信プラットフォームやアプリを選ぶ際には、視聴者層や扱うコンテンツとの相性に注目しましょう。
プラットフォームとしては「YouTube」や「Twich」、「OpenRec」、「ツイキャス」に「イチナナ」、「TikTok」「Pococha」など配信アプリは多種多様です。
Twitchはゲーム配信に強く、YouTube Liveは幅広いジャンルで活躍できるなど、それぞれに特徴があります。配信者側で行う設定やアーカイブが残る期間など、プラットフォームによって機能が違うため、自身に合うプラットフォームを選びましょう。
また、初心者は操作がシンプルでイベントが多いところを選ぶとリスナーを集めやすい傾向があります。
配信者として活動する上で、身につけておくと良いものをご紹介いたします。

撮影機材や配信ソフトの知識・技術習得
配信者として必要な機材ですが、現在はスマホとアプリがあれば誰でも行うことが可能です。しかし、高画質なカメラやクリアな音声を届けるマイク、適度な明るさを確保できる照明は、視聴者の満足度を大きく左右します。
また、動画の編集スキルを身に付けることで、よりクオリティの高い動画を配信することもできます。
スマホ配信でも始められますが、配信に慣れたり本格的に配信をしたいと感じたらPCや専用機材を検討するのがおすすめです。機材投資は視聴者のリピート率向上にもつながるため、予算に合わせて品質を上げていくと良いでしょう。
- PC(モニター)
- カメラ
- キャプチャーボード
- マイク、ヘッドセット
- ミキサー
- 照明
- 動画編集ソフト(配信のハイライト切り抜いて、YouTubeにアップする配信者も多くいます。)
低予算なら1万円未満でマイクと照明を揃えられることもありますし、本格派なら高性能PCやオーディオインターフェースなど数万円以上の初期投資をすることもあります。自分の配信スタイルに合わせて段階的に機材をアップグレードしていくのが一般的です。
人としての魅力
配信者として必要なものがあるとすれば、それは「人としての魅力」です。視聴者はコンテンツの面白さや、実況するゲームの内容が面白いのではなく「その人がプレイするから面白い」そこに配信者としての魅力を感じます。
「面白い配信者」として現在多くの視聴者や登録者を抱える配信者も、前職は全く別だったりすることも多く、その頃の体験談や経験が現在の配信に多く活きている配信者も多数います。様々な経験を積むことで「人としての魅力」が自然に増すはずです。

人気配信者になるためのポイント
配信を始めたからには、多くの視聴者に楽しんでもらいたいと考える人も多いでしょう。継続的にファンを増やすためのコツを押さえておくと効率的に成長できます。
人気配信者になるためには、定期的な配信スケジュールを心がけてどんなときでも配信を楽しむ姿勢を示すことが大切です。単に長時間配信するだけでなく、視聴者とのコメントのやり取りを積極的に取り入れたり、企画やイベントを考えるなど「つまらない」と思わせない新鮮味を提供し続けましょう。さらに、他の人気配信者のスタイルを研究しつつ、自分の個性を引き立てる独自のトークや演出を磨くことで差別化を図ることができます。
定期的に継続配信を行う
視聴者に覚えてもらうには、できるだけ決まったスケジュールで配信を継続することが効果的です。毎週同じ時間帯に配信があるとリスナーは予定を立てやすく、ファンコミュニティも形成されやすくなります。忙しいときでも短時間の配信を挟むなど、途切れない工夫を意識すると良いでしょう。
人気配信者を研究してトーク力を磨く
人気配信者の配信を視聴し、トークやリアクション、企画内容などを観察するのは大きな学びになります。ただ単に真似をするのではなく、自分なりにアレンジして独自の魅力を引き出すことが大切です。観客とのやり取りを通じて新たなキャラクターや話題が生まれることもあるため、柔軟な姿勢を保つようにしましょう。
SNS連携で視聴者との交流を深める
TwitterやInstagramなど、配信外でのコミュニケーションツールを活用して存在感を高める配信者も多くいます。配信の告知はもちろん、日常のちょっとした出来事や次回の企画のヒントになる情報を発信することで、ファンとの距離を縮められます。SNSを使うと他の配信者とのコラボにつながるチャンスも増え、活動の幅が広がるでしょう。
配信のネタ切れを防ぐ企画づくり
多くの配信者が悩むポイントに、次はどんな配信をすればいいのかというネタ切れがあります。そこで、定期的に新しいゲームやトレンドをチェックし、リスナーのリクエストを参考にするなど工夫が必要です。このような小さなアイデアの積み重ねが、マンネリ化を防ぐだけでなく、視聴者の飽きにくい番組づくりにつながります。
視聴者と目標や楽しみを共有する
配信の目標を設定し、その達成過程を視聴者と一緒に楽しむスタイルも人気を集める一因です。フォロワー数を○人達成すると特別企画を行う、特定のゲームをクリアすると視聴者プレゼントを実施するなど、わかりやすい目標設定で盛り上がることができます。目標達成を応援してくれるファンは配信者にとって大きな励みとなります。
配信者としてのモラル
現在、動画の再生数を増やすきっかけとしても話題になっている「炎上」。
さらに配信者のモラルにかけた非常識な行動や言動、無許可配信などが近年問題になっています。配信をする上で大事なことは必要最低限のモラルを持ち、迷惑行為や著作権の侵害などがないか、注意を払いながら配信を行うことが必要です。
配信活動で気をつけるリスクと対策
配信は多くの視聴者と交流できる反面、炎上やプライバシーの侵害などリスクを伴う場合もあります。トラブルを未然に防ぐために知っておきたい対策を紹介します。
インターネット上ではコミュニケーションが匿名で行われやすく、誹謗中傷の対象になりやすいという面もあります。著作権問題やプライバシーの取り扱いも配信者として注意すべきポイントです。特にライブ配信では予期せぬ出来事が起きたときに即座の対応が求められますので、放送前に対策を考えておくことが大切です。
炎上・誹謗中傷への向き合い方
言い方や表現ひとつで大きな騒動に発展する可能性があるのがネット社会です。万が一炎上してしまった場合は、冷静に謝罪や説明を行い、誤解があった場合には正しい情報を伝えましょう。感情的な発言を返すことは事態を深刻化させる原因にもなるため、配信者として自分の言動に責任を持つ姿勢が求められます。
身バレ・プライバシー保護の重要性
配信中の画面に家の周辺や個人情報が映り込むだけで、身バレリスクが高まるケースがあります。取り返しがつかないトラブルを防ぐには、顔や周辺環境が映りにくいカメラアングルや、プライベート空間の公開範囲をしっかり決めることが大切です。バーチャル配信ならプライバシーを守りやすいメリットがありますが、音声やSNS投稿から個人情報を特定される可能性もあるため、一貫した対策が必要です。
著作権・肖像権違反に注意
配信で使う音楽や映像、他人の写真やイラストなどを無断で使用すると、著作権や肖像権の侵害にあたります。後々大きなトラブルに発展する可能性があるため、必ず使用許可を得たり、著作権フリーの素材を利用するルールを守らなくてはなりません。特にゲーム配信でも、配信可能なタイトルかどうかを事前に確認し、規約に従うことを徹底しましょう。
配信者に向いている人の特徴

まず、人前で話すことが好きで臨機応変に対応できるタイプの方は、ライブ配信に向いていると言えます。ゲーム配信ならゲーム好きであることが強みになりますし、雑談系であれば日常の何気ない話題でも楽しさを生み出す発想力が重要です。
また、長時間の動画編集などコツコツと作業ができる集中力も大切です。地道に継続できる粘り強さやファンを大切にする姿勢も、人気配信者になるためには欠かせません。
人に見てもらうことが好き、人気ものになりたいなど、自身で発信することが好きな人に向いています。
配信者の収益モデル
配信者の収入に関しては、0~億単位までと非常に幅広いです。もちろん著名な配信者になれば生活に困らない程の年収になりますが、氷山の一角のようにほんの一握りになります。
ですが最近ではサブスクリプションなどの登録や、投げ銭・グッズの販売などで収入を得ている配信者も多く存在し、配信の広告収入だけで活動している配信者は少なくなりました。
投げ銭・ギフト収入
ライブ配信プラットフォームでは視聴者が配信者に対して投げ銭やギフトを贈れる仕組みが一般的です。応援したいと思った瞬間に直接支援してもらえるため、配信者と視聴者の間に強い一体感が生まれます。イベントやキャンペーンを企画して投げ銭を促す工夫を凝らすと、さらに盛り上がりやすくなります。
広告・企業案件・スポンサー収益
動画投稿やライブ配信で視聴回数が増えてくると、広告や企業からの案件が増加する傾向にあります。企業案件を利用すれば商品のPRやタイアップ企画などで一度に大きな収益を得られる可能性がありますが、配信者のイメージやコンテンツ内容との整合性が大切です。長期的にファンと信頼関係を築くためにも、自分のカラーに合った企業案件を選ぶことをおすすめします。
配信者の就職先
配信者には事務所に所属する場合と完全にフリーランスとして活動する場合があります。
中には大手の事務所であれば広告収入に関わらず、決まった額が収入としてもらえるものもあり、売れるまで(収益化)の間をサポートしてくれながら企業間を通した案件の獲得など、フリーランスで活動するよりメリットが多くあります。
反対にフリーランスはサポートがありませんが、案件や自身の方向性を自由に決めることができます。
事務所所属のメリットと注意点
ライバー事務所やマネジメント会社に所属すると、安定したサポートやノウハウの提供を受けられます。ライブ配信アプリ主催のイベントで公式ライバーとして露出の機会が増えるほか、案件の交渉代行やスケジュール管理などを任せられるメリットもあります。しかし、契約条件によっては自由度が制限される場合や、報酬の分配率をよく確認する必要があるため、慎重に検討しましょう。
配信者をめざすアナブキの学科
穴吹ビジネス専門学校には、YouTuberや配信者をめざすことができる「ネット動画クリエイター学科」(2年制)があります。
クリエイティブ+マーケティングで魅力的な情報発信ができる人材をめざします。そのために、クオリティの高いコンテンツ制作能力とユーザーが求める情報を捉える力がを実習を通して学習します。
さらには現役のクリエイターから撮影・制作に関する技術や撮影時のポイントを直接学べるオンライン授業を導入、中四国初の取り組みとなる穴吹カレッジ3校をオンラインで結んでの授業で多様な中間と刺激し合える環境です。
学内には配信・撮影スタジオを完備しており、写真撮影、YouTubeやSNSコンテンツの動画撮影・動画編集・ライブ配信など多目的に活用することが出来ます。
さらには豊富な撮影機材(ENGカメラや一眼レフ、アクションカメラ、ドローン、ジンバルなど)を用意し、機材の使用方法や知識の習得から始まる作品制作をサポートします。
さらには企業や行政と連携した産学連携で実際の業務を在学中から経験することができます。ヒアリング・企画・撮影・動画編集や現場でのディレクションを学生自ら主体となり、卒業後に即戦力として活躍できる人材育成を行います。