せとうちの海に浮かぶ客船で夢を追う卒業生2名へインタビュー

瀬戸内海をゆったりと巡る客船「ガンツウ(guntû)」。船内で腕を振るうのは、なんと穴吹調理製菓専門学校の卒業生、森 健琉さんとタクール小迫 利士(こさこ りし)さんのお二人です!
船の上で最高の料理を生み出す、特別で挑戦に満ちた仕事の魅力と、穴吹調理製菓専門学校での学びについて、高校生の皆さんへメッセージをいただきました!
今回は2名の卒業生を同時に取材させてもらったので、読みやすいようにインタビュー形式でお届けします。
🛳️ 料理への想いとガンツウでの特別な経験
| 森 健琉(もり たける)さん | タクール小迫 利士(こさこ りし)さん | |
| 卒業学科 | 高度調理学科(2024年3月卒業) | 高度調理学科(2024年3月卒業) |
| 出身高校 | 岡山龍谷高校 | 既卒(大学からの進路変更) |
インタビュアー: 本日はよろしくお願いします!お二人は穴吹の同級生とのことで、いろいろ聞かせてください。まず、森さん、料理を好きになったきっかけは何ですか?

森さん: 小さい頃、家に作り置きのご飯がなくて、小学生・中学生の頃から自分で料理を作ってご飯を食べていたんです。それで、料理するのが苦じゃない、むしろ楽しいと感じて、この道に進もうと思いました。
インタビュアー: ただ最初は穴吹の別学科(情報システム学科)に入学して、そこから転科したんですよね?すぐに方向転換できたのがすごいですね!
森さん: 情報システム学科で入学したんですが、「自分に合ってないな」と思い、そこで学校に相談して高度調理学科にに転科させてもらいました。
インタビュアー: そうなんですね。タクールさんも大学から進路を変えたそうですが、きっかけは何だったんですか?
タクールさん: 大学3年の時にコロナ禍になり、学校に行けなくなって自分の将来を真剣に考え直したんです。実家が飲食店だったこともあって、「手に職をつけて自分でお店をやりたい」という気持ちが強くなりました。あと、穴吹の学校が家から近かったのも大きかったですね。
インタビュアー: なるほど。レストランやホテルではなく、客船のガンツウで働く中で、「これは特別だな」と感じる瞬間はありますか?
森さん: やっぱり船が揺れることもある中で料理をすることですね。船が動いている中で食材を切ったり、調味料を測ったり……。船内の料理人というのは特別感があります。
タクールさん: 僕は朝日の景色です。クルー用のデッキから朝日を浴びるのが最高に気持ちいいんです。水平線から日が昇ってくるのが陸上より早いので、今、船にいる自分しか見られない特別な景色を見られるのは醍醐味です。
🔪 揺れる船内で、プロとしての工夫と成長
インタビュアー: いい経験されてますね!確かに陸上と違い安定しない船内での調理は大変そうですが、何か工夫はしていますか?
森さん: そうですね、ただ「慣れる」しかないかな。あとは、船の揺れが小さい時に調味料を量るなど、落ち着いた瞬間を狙って作業します。
インタビュアー: すごい集中力ですね!船内ということでで食材管理も陸上のレストランやホテルとは違いますよね?
タクールさん: もちろんです。出港するともう食材を取りに行けないので、事前に完璧に発注しておかなければいけません。特に野菜などはこだわりの農家さんから仕入れているので、食材が足りないため明日買いに行くということができないんです。全ての食材を料理長が吟味して選んでいるため、きちんと事前に不足なく準備しておくことが大変なところですね。
インタビュアー: そういった厳しい環境だからこそ、成長も早いのでは?入社して約1年半で、プロとして成長したと感じることは?
森さん: とにかく自信がつきました。特に包丁を使う作業、切り出しの早さは学校にいた時とは比べ物にならないほど成長したと感じます。学校の調理実習は玉ねぎを500g切るくらいですが、今は仕込みで2〜3kgをこなしますから。

タクールさん: そうですね、穴吹の高度調理学科で和洋中すべて触れたのが今、役立っています。働き出すと、実際に洋食しか携わらないことが多くなるのですが、日本料理での包丁さばきや中国料理のスパイスや味付けの知識が、西洋料理にも活かせるんですよ。たとえば僕たちは賄いを作る順番が回ってくるんですが、その時に活かせるんです。

タクールさん: ちなみに、僕が作った賄いの中で一番評判がよかったのは、豚の角煮でした。(笑)
インタビュアー: いろいろなところに活かせてるんですね!では、やりがいはどんな時に感じますか?
お二人: 下船されるお客様の「美味しかった!」という一言ですね。
森さん: 下船される時お客様をお見送りするんですが、その時に直接「ごちそうさま」や「美味しかったよ」と言っていただけると、本当に嬉しいです。
タクールさん: お客様が笑顔で「美味しかったです、ありがとう」と言ってくださった時に、僕も頬が緩んじゃいます。お客様の笑顔が最高のモチベーションですね。
🧑🍳 料理の道を目指す皆さんへ
インタビュアー: 聞きごたえのある回答ありがとうございます。では、料理人という仕事の魅力と、これから料理の道を目指したいと考えている高校生や、タクールさんみたいに進路を変えようかなと迷っている方へのアドバイスをお願いします。

森さん: 料理は日常生活にも生かせます。家族ができたら美味しい料理を作ってあげられるし、バーベキューの時って何気に料理人って得します(笑)。今から目指すなら、とにかく少しでも料理に触れておくことが大切かなと思います。

タクールさん: これから料理の道を目指す高校生や、何か新しいことに踏み出したい人にですか。意外と踏み出してみたらどうにかなることの方が多いんじゃないかなと思いますね。まずはその「一歩」を踏み出してみるのが大事かなと思いますね。

インタビュアー: 最後に、お二人の学生時代の心に残っているエピソードを教えてください!
タクールさん: 男6人でキャンピングカーを借りて、「マグロ食べに行こう!」と(笑)。福山から和歌山の白浜まで、3日くらいかけて行ったのが最高の思い出です!
学生時代から、なんだか気が合っていた2人。今は同じ職場で切磋琢磨し合う仲間となっています。船上で共に働きながら、これからも夢に向かって頑張ってほしいと思いますj。
【インタビュアーより】
お二人の話を聞いて、改めて「ガンツウ」という特別な環境で、プロとして大きく成長している姿を見ることができ、嬉しく思いました。特に、船上での作業への工夫や、「後輩からも先輩からも慕われる料理人」を目標に技術を磨く姿勢は、料理の世界をめざす皆さんにとって大きな刺激になるはずです。これからも瀬戸内の海で、お客様に最高の「食」の体験を届けてくれることを応援しています!
🚢 ガンツウ(guntû)紹介
「せとうちの海に浮かぶ、ちいさな宿」をコンセプトに、瀬戸内海を巡り移動する客船。それが「ガンツウ」です。

船名は瀬戸内海で獲れるイシガニの備後地方の方言に由来し、地元の人々に愛される存在となるよう願いが込められています。
建築家・堀部安嗣氏が設計した船内は、わずか17室の全室テラス付きの客室に加え、「お好きなものを、お好きなだけ」がコンセプトのダイニング、海の見える鮨カウンター、檜の浴槽とサウナを備えた浴場など、贅沢な空間が広がります。

航路は、穏やかな瀬戸内海の風景を堪能しながら、船尾に搭載するテンダーボートでせとうちの島々の文化や自然に触れることができます。ただ過ぎゆく時を愉しみ、移ろう四季折々の瀬戸内の「豊かな滋味」を味わう、特別な「海に浮かぶ旅館」です。
【宿情報】
宿名:ガンツウ(guntû)
住所:広島県尾道市浦崎町1364番地6
電話:0120-489-321(フリーダイヤル)