菓子・料理の味を左右する「生クリーム」の奥深い世界
こんにちは!穴吹調理製菓専門学校です。
皆さんはケーキやカフェのドリンクに使われている「生クリーム」について、どれくらい深く考えたことがありますか?
デザートや料理は、食材とそれを活かす技術から生まれます。穴吹調理製菓専門学校では、学生たちが将来、本物のプロフェッショナルとして活躍できるよう、普段何気なく使っている素材の「深掘り」をとても大切にしています。

今回は、まさに基礎でありながら奥深いテーマ、「生クリーム」に焦点を当てた特別授業を実施しました。担当いただいたのは中沢乳業株式会社の中川様。その学びの一部と、皆さんが進路選択を考える上で知っておきたい専門知識をご紹介します!
利き牛乳・利き生クリーム体験!味覚を研ぎ澄ませ
プロの道を歩む上で欠かせないのが、繊細な味覚と香り、そしてテクスチャー(食感)を感じ分ける力です。
今回の授業では、利き酒ならぬ利き牛乳と利き生クリームに挑戦しました。銘柄の異なる数種類の牛乳と生クリームをテイスティングし、その違いを確かめてみました。




【生クリームについて】
- 生クリームは、牛乳から乳脂肪分だけを取り出し、濃縮したものです。日本では「乳脂肪分18.0%以上」のものが「クリーム」と表示され、そのうち、添加物を含まないものが「生クリーム」と呼ばれます。
- 生クリームの風味は、牛が食べている飼料や季節によってわずかに変化します。プロの現場では、そのわずかな違いが、ケーキの口どけやソースのコクを左右するため、常に素材の状態をチェックし、最適な使い方を見極めています。
プロの必修科目!シャンティの安定性を決める「含脂量」の科学
パティシエにとって最も重要なお菓子の一つである「シャンティ(泡立てた生クリーム)」について、生クリームの含脂量がどのように影響するかも学びました。

含脂量がキメる!プロが選ぶ生クリームの分かれ道
含脂量とは、生クリームに含まれる乳脂肪分の割合(パーセンテージ)のことです。この数値が、泡立ち方、安定性、口どけといった、シャンティの品質を決めると言っても過言ではありません。
| 含脂量 (乳脂肪分) | 特徴と最適な用途 | 専門的なポイント |
| 35%〜38% | 軽い口どけ。コーヒーやソースなどあっさり仕上げたい料理やデザート向き。 | 泡立てるのに時間がかかり、オーバーホイップ(泡立てすぎ)になりにくい反面、安定性が低いため、デコレーションには技術が必要です。 |
| 40%~45% | コクと安定性のバランスが最も良い。ケーキのデコレーションや絞り出しに最適。 | 泡立てやすく、キメの細かい安定したシャンティ(ホイップ)を作りやすい、プロが最も一般的に使用する領域です。 |
| 45%以上 | 濃厚なコクと高い保形性。モンブランやガナッシュ、リッチなチョコレート菓子向き。 | 泡立ちが非常に早く、形崩れしにくいため、バターに近い風味と質感があります。泡立てすぎるとボソボソになりやすいので注意が必要です。 |
むっ、難しい。。

なぜ含脂量が高いと安定するの?
生クリームを泡立てることは、脂肪球の周りに空気を抱き込ませ、網目状の構造を作ることです。含脂量が高いほど、この脂肪球が多く、お互いに結びつきやすくなります。
この結びつきが強固なほど、作ったシャンティは時間が経っても水(水分)が分離しにくく、高い保形性(形を保つ力)を持ちます。これが、デコレーションケーキが美しく保たれるための、科学的な秘密なんですね。
「知る」が「創る」に変わる瞬間
調理・製菓の分野でプロを目指すことは、ただレシピ通りに作ることではありません。「なぜこの素材を選ぶ?」「なぜこの技術が必要?」という本質を深く理解すること。

今回ご紹介した生クリームの特別授業のように、すべての基礎素材と技術に「科学的な根拠」と「プロの感性」という視点を加え、あなたの「スキ」を「確かなプロの技」に変えるための学びを提供しています。
実践的な学びを通して、あなたの可能性は無限に広がりますよ!もしあなたが、パティシエになりたいと考えているなら、ぜひ一度オープンキャンパスに来て、技術を体験してみてください!

